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南疆線乗車記。トルファンからカシュガルへ。硬座で30時間の列車旅は楽しいけどかなり過酷。

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【訪問時期:2013年10月】

トルファンから中国最西端の都市カシュガルへ鉄道で行くことにしました。シルクロードを丸一日以上かけて走る超長距離旅です。

今回はその車内の様子を主に記していきたいと思います。

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砂埃と乾燥

トルファンを出発した列車はしばらく平地の砂漠地帯を走ります。この一帯では盛んに風力発電がおこなわれているのがわかります。

この景色を見る限りはいい電車旅という感じですが、実のところ車内はけっこう砂埃がひどいです。窓を閉めておくといくらかましですが、窓を開けたらもうガンガン砂が入ってきます。

砂漠を走るとはこういうことか。強烈な環境です。

窓を開けることができないので、陽があたった車内はかなり暑いです。

また、乾燥もかなりひどかったです。

新疆ウイグル自治区にきてからかなり乾燥感を感じていましたが、砂漠を走っているだけあって乾燥感をより感じます。皮膚がかなり荒れました。

暑さと乾燥で体の水分をどんどんとられます。のどが渇きまくります。

もっと水分を持っていけばよかった。

天山山脈と遊牧

しばらくすると列車は高原地帯に入ります。

 

南疆線は天山山脈の麓を通るため、列車からは天山山脈の景色を望むことができます。

 

さらに、遊牧を営む風景を見ることもできます。

南疆線の車窓には昔から変わらず続くシルクロードの景色がありました。

硬座のカオスと生き抜く強さ

夜になり列車は途中駅で停車。ここからがすごかったです。

まさかこんな夜に人はのってこないだろうと思っていたら、たくさん乗客が入ってきました。硬座は自由席ですからね。

座っていたボックス席は子連れのウイグル族が来て埋まりました。

席どころか床も埋まりました。

さらに通路で子供をあやしはじめました…。もうなにがなんだかわかりませんでした。カオスです。

なんでもありでした。生き抜く強さを見た気がします。笑

 

でも彼女たちは決して悪い人ではありません。

このあとウイグル語を教えてもらったり、車内だけど歌を歌ったり、誰かが持ってきたギターみたいな楽器をひいたりと一緒に色々しました。

辛さに耐え、カシュガルへ

翌日、まだまだ列車は走り続けます。車内の客も疲れ切った様子。

砂埃と乾燥と暑さとカオスさで疲れ切ってしまったのか熱が出ました。列車の中で横になるのなんて初めてだったりして。こうやって人間強くなっていくんですね。

水が手に入らないので、のどが渇いてもう干からびそうです。唯一持っていた水も、水がなくて困っている子連れのウイグル族にあげてしまいました。

もはや列車の到着まで耐えるだけです。

列車は荒野をひた走ります。

そしてトルファンから出発して約30時間、とうとう列車は中国最西端の都市カシュガルへと到着するのでした。

列車旅を終えて

とりあえず、硬座に30時間はそれだけできつかったです!それに加えて砂埃、乾燥、暑さが体に押し寄せます。さらに、列車のデッキでたばこを吸う人たちの煙が流れてきたりします。人もがんがん入ってくるし、ごみも散乱したりしてなかなか列車内の環境は劣悪になります。こりゃ熱も出るわ・・・笑

途中、乗客が床に寝だしたり、ごみをその辺に捨てたりと色々自由で衝撃的なんですが、それはある意味彼らにとっては普通のことで、その辺に対する意識とか感覚が異ってるだけなんだなと思いました。

電車の車掌たちは気さくな人が多く、よく声をかけてくれました。仲良くなって、持ってる外国の硬貨を交換したり、なぜか髪を切ってもらったりもしました笑

こんな風に列車の中で車掌と仲良くなれるのも中国の長距離列車の旅ならでは。乗客にはウイグル族が多かったですが、子供たちをはじめとしてけっこう仲良くなれました。

新疆大学に通っているウイグルの子とも仲良くなりました。日本人と出会ったのはこれが初めてとのこと。今まで、学校教育で日本人はひどい人という風に習ってたらしいので全力で否定しておきました!笑 「まあ、そうだよね!」と笑ってました。

 

結果的に言うと約30時間列車の硬座に乗ってみて良かったです。

過酷な部分があった反面、それ以上に車窓に広がる絶景や人との触れ合いという素晴らしいものがそこにはありました。

寝台車ではなく一番安い硬座に乗ることで、ここで実際に暮らしている人の日常を体験することができたように思います。

うまい言い方が分かりませんが、それは自分にとってまさに旅でした。